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元々、フランは感じ易かったんだけど、妊娠してからは更に感じ易くなったと思う。
今だって、こうやって抱きしめているだけなのに、もう、瞳が潤んできて、吐息が熱くなってきて・・・。
ボクには、もう、耐えられそうにない。今夜も、キミに完敗なのかな・・・。
そんな事を思いながら、フランの唇を貪っている。
元来、負けず嫌いなボクだけど、キミにこんな風に負けるのなら、大歓迎。
悦んでイヤ喜んで白旗を掲げるさ。
ヒドイつわりで苦しんでいた時期の直後は、華奢だったフランの躰は更に痩せてほんの少し力を入れて抱きしめただけでも壊れてしまいそうだったけど、今は少しだけいつもよりもふっくらとしている。
「やだわ、なんだか、少し太っちゃったみたい・・・」
って、キミは気にしてるけどさ、普通はソレが当たり前だし、ボクはそんな今のキミだって愛しくって仕方がない。
元から豊かだった乳房は、今は、以前よりも白さを増して、はりつめたように重たげに震えている。
その先端の果実は、ボクがみつめているだけなのに、もう、立ち上がってボクを誘っているんだ。
いつもよりも優しく触れているのに、キミの吐息がもう乱れ始める。
フランの躰は全身が楽器のように、どこに触れてもいろいろな音色を奏でる。
もっと、もっと、いろんな音色が聞きたくて、ボクはあちこちに舌を這わせる。
ここにボクらの新しい家族がいるんだ。
そう思いながら、大分丸みを帯びてきたお腹に頬を寄せてみたら、不意にナニかが当たったような気がした。
「あ・・・ジョーにもわかった?今ね、赤ちゃんが動いたの。
ふふふ・・・”パパ”にご挨拶したのね、きっと・・・」
え?パパって・・・それ、ボクのこと?
そっかぁ・・・。
ボクがこうやってキミを抱きしめる。そうすると、ボクはキミごとお腹の赤ちゃんまで抱きしめているわけで・・・。
多分ボクも母親の胎内にいる時にこうやって抱きしめられていて、それはきっと優に古代まで遡ることのできる、生命繋ぐ為の営みの中での事であって・・・。
結局、「科学の粋を集めた」とか、「最新式の」とかいう形容詞を付けられがちなボクの身体も、極めて原始的な方法で愛し合う事によって、ボクという人間の遺伝子情報を次世代に遺していくわけで。
そんなことをアレコレ考えていたら、目先の小さな事なんかもうどうでも良くなって来ている自分に気がついた。
とにかく、今、ここにボクとキミがいてこうやって愛し合っているという事実が大事なんだ。
それがなかったら、今のボクは存在し得ない。ボクはボクでなくなってしまう・・・。
そう思ったら、いつもに増して、フランが愛しく思えてきて・・・ボクは、フランの躰に没頭し始めた・・・。
「はぅ・・・・」
フランの悩ましげな溜息が聞こえ始めた。どうやら、1回目の波が来ているみたいだ。
これでも、ボクはお腹に気を使って、優しくしているつもりなんだけど、やっぱり、フランはいつもよりも敏感になっていて、今にも達してしまいそうだ。
「愛してる・・・。」
普段だったら絶対に言えないようなそんな言葉も、不思議となんの衒(てら)いもなく口にできてしまう。
そして、実際ボクは何度もそれを口にした。
フランの舌を味わい、胸の感触を愛おしんでいたら、背中に回されていた腕に急に力が入り、フランはあっけなく達ってしまったようだ・・・。
意識を失うような事はなかったものの、ぐったりと脱力しているフランをボクは愛しつづけた。
フランの全身をゆっくりとくまなく愛して、至るところにに赤い花びらを散らして・・・。
「ジョー・・・
いつもの激しいあなたも好きだけど、こんなふうな、包み込んでくれるような優しい愛しかたも、大好きよ・・・。」
熱に浮かされたように、溜息の合間にフランが囁く。
フラン・・・それってさ・・・、ハンソクじゃない?
キミにそんな風に言われちゃったらさ、ボクはもう、どうしたらいいのかわからなくなっちゃうよ。
普段にも増して儚げなキミ。それでいて、ナンだか眩しいキミ。
ボクの血を分けた分身である新しい生命をその胎内に宿しているキミが、とてつもなく崇高な存在に思えて、それでいてボクの愛しいキミには違いないわけで・・・。
つまり、その・・・手っ取り早く言うと、ボクはキミを愛しているっていうコトなんだ。
とても、とても、大切に思っているってコトなんだ。
そういうフランだってさ、聖女だったり、小悪魔だったり、ボクは翻弄されてしまうこともしょっちゅうなんだけどさ。
でも、キミはキミなんだし、どのキミをもボクは愛しているんだし・・・。
早くも2度目の波を迎えようとしているフランのその、しどけない姿に、ボクはもう、たまらなくなって、下腹部の茂みを弄り、フランを更なる高みへとゆっくりと、だけど、着実に追い立てる。
より深く愛し合う為に・・・。
「あぁ・・・・」
声が一段と高くなり、白い喉が仰け反る。
蜜を湛えた泉の水音が聞こえる、と同時に、熱と締め付けが、ボクの指と脳にダイレクトに伝わってくる。
光の筋のような亜麻色の髪も、甘い艶のある声も、透き通るような白い肌も、みんな、みんな、誰にも聞かせたくないし、触れさせたくない。
ボクだけが守ってボクだけが愛していくんだ、これからも、ずっと・・・。
こんな、独占欲の塊みたいなボクを、キミは軽蔑するかい?
「ああ・・・・ジョー・・・早く・・きて・・・。」
「フラン・・・。」
「あなたと・・・一緒・・・に・・達きたい・・・・から・・・。」
フランの切なげな声に、ボクはフランの中に入る。
「ん・・・・ボクも・・・キミと達きたい。」
ひとつになったボクらは、あらゆる感覚のすべてを使って、お互いを感じようとした。
結合した部分の熱さ、合わせた肌のなめらかさ、しなやかさ、時折洩れる声の妖しさ、吐息の甘さ・・・。
まわりの空気からすらも、ボクらは相手を感じ取ろうとしていた。
そして・・・・・・・・・・。
ボクらは、ひとつに溶け合った・・・。躰も、心も・・・。
頭の中の白い霧が晴れ、気がつくと、お腹のあたりが何かに蹴られた気がする。
「フラン・・・もしかして・・・?」
「ええ、また動いてる。」
もしかして、ボクに妬いている?まさかね・・・。
君は、ボクらがこうやって愛し合ったからこの世に生まれてくる、いわば、ボクらの「愛のカタチ」。
その君が、そんなはずはないよね・・・。
「ねぇ・・・フラン・・・。」
ボクは、世界一のシアワセモノだと思う。
こんなに満たされた気持になれるなんて、以前のボクには想像もできなかった。
キミとこんなふうになる前のボクは、こんな優しい気持ちにこのボクがなれるなんて、思いもしなかった。
それが、キミと出会って、キミを好きになって、そして・・・・。
人を愛すること、人から愛されることを知ることができたのは、キミのお陰。
無味乾燥の無彩色の風景画のようだったボクの人生に、彩りを与えてくれたのはキミなんだ。
だから・・・。
「ありがとう。」
「え?」
今はまだ、上手く言えないけど、この気持ちをいつかキミに伝えたいと思う。
キミに出逢えてよかったと、キミの存在に感謝していると・・・。
そして、心からキミを愛していると・・・
2004/1/7