あれは、初めてみんなでお祝いした、あなたの誕生日のことだったかしら。
「なぜ、誕生日を祝うのか?僕にはさっぱりわからない。」
そう言っていたわよね、あなたは。
「僕はこの世に生まれたことをありがたいと思ったことは一度だってなかった。
僕は望まれて生まれたわけじゃなかったんだ。だから、僕は・・・。」
そう言ったあなたは、
いつものクセで、前髪で両方の瞳を隠すように、俯いていた。
でも・・・。
いくつもの、数えきれないくらいの偶然が重なって、
あなたがこの世に生を受けた。
たとえ、闘いに身を投じる事があっても、
今まで無事に生き抜いてきた。そのお祝い・・・。
そして、私はソレと同時に感謝したいの。
あなたの存在に。あなたとひき合わせてくれた全てのモノに。
あなたがそんな悲しい事を思うのなら、
癒してあげたい、心の空洞(すきま)を埋めてあげたい、
それが私にできることならば。
だから、私は「お誕生日、おめでとう、ジョー。」って言うの。
「そして、あなたが居てくれる事に、
あなたの傍に居られる事に、あなたのすべてに、感謝しているわ・・・。」って。
あなたの腕の中で・・・。
ありったけの愛(きもち)を込めて・・・。
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