或るひとつの、幸せな風景            第1章
第一章

このページの壁紙hはMIYUKI PHOTOさんからお借りしています

<Scene  1>

「おいっ、ジョー、ちょっと来い・・・」
ジェットの部屋の前を通ったら、急に部屋の中に引っ張り込まれた。
誰に?って、ジェットに決まってる。
「フランのヤツ、この頃、急にイロっぽくなったと思わね―か?」
彼女のことを、馴れ馴れしくも「フラン」だなんて・・・そう、思いながらも、ジェットの話を聞いていた。
「目つきとかさ、仕草とかさ、イロイロさ・・・」
そ・・・そーかなーーー?

「胸なんかさ、この頃大きくなってきたんじゃねーか?アイツ・・・」
そりゃー、ボクが一生懸命育てて・・・っておい、キミはそんな目でフランを見てたのか?(むかーっっ)
「腰だってさ、なんか、ハリが出てきたってゆーかさ・・・」
(むかむかーーーっっ!)
「なんかさ、”オンナ”になってきたっていうかさ・・・」
(むかむかむかーーーーっっっ!!!)

「でさ、お前、気がついているか?」
「え?ナニに??」
「アイツ、こないだからよ、すっぱいモンばっか、食ってるだろ。」
「?」
「グレープフルーツとか、オレンジとかよ・・・。オイシイ、オイシイ、って言ってよ。」
「・・・・」
「もしかして、アイツ、デキてんじゃねーか?」
「え゛・・・?」
「え゛・・・じゃねーよ。子供、出来てんじゃねーかって言ってんだよ。」


その後、ボクは、どうやってジェットの部屋を出たのか、まったく覚えていない・・・。

フランに子供・・・。と・・・当然ボクの子だよね・・・。
え?・・・どーしよー???
って、決まってるじゃないか、モチロン、速攻で籍入れて、あ、結婚式挙げなきゃ・・・。
ウェディングドレスって、女の子の憧れだって言うし・・・。
綺麗だろうなぁ・・・フランのウェディングドレス姿・・・。

あ、その前に、指輪買わなきゃ・・・。プロポーズしてなかった。
あ゛〜〜〜、なんて言えばいいんだよ〜???
やっぱり「結婚してくれ」かな?う〜〜ん、照れくさいな。

いつ、言うんだよ。二人っきりの時だよな、当然。
なるべく早いほうがいいよな・・・。
今日って、大安だったっけ?
いやいや、そんなコト関係ないや。
ボクは、教会育ちだし、フランだってフランス人だもん。気にしないよな、ソンナ事。
うんっっ、今夜、プロポーズしよう!「思い立ったが吉日」って言う言葉もあることだし。
指輪・・・間に合わないけど・・・後からって事で。

あ・・・記者会見ってヤツ・・・やらなきゃなんないのかな・・・?
チーフやオーナーに報告するだけじゃ、だめなのかなぁ・・・。
あれ、苦手なんだよな・・・。
でもさ、ちゃんとしておかなきゃ、きっとフランだって困るだろうなあ。
いつかみたいにさ、イワンと3人のところを隠し撮りされて、
写真週刊誌かなんかに「島村ジョーに隠し妻と隠し子が!!」なんて、
掲載されちゃったら、タイヘンだもんな・・・。
あれは、イワンの超能力で、ナンとかゴマカシテもらったんだけどさ・・・。

子供・・・どっちだろう・・・???
男の子かな?ボク、フランに似たカワイイ女の子がいいな。
あ、でも、そうしたら、ミンナが放っておかないだろうな。
ただでさえ、ウチは男ばっかりなんだから・・・。
いや、ウチの連中ばっかりとは限らないぞ・・・。
きっと、もててタイヘンだろうな。なにしろ、フランそっくりなんだから・・・。
近寄ってくる害虫ドモは、かたっぱしから退治しないとな・・・。

ボクの妄想は、果てしなく続く・・・。エンドレスに・・・。






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                                                  2003/04/22