陽だまりで

このページの壁紙は空色地図さんからお借りしています

「ねぇ?」
「・・・・そうだね。」
「でしょ?・・・ふふふ」

頬を染め互いに相手の耳元に顔を寄せ何やら楽しげに秘密の会話をする恋人達。
今ではデートスポットでなくてもよく見かける風景になりつつあるのだが、ここ、ギルモア研究所のリビングルームでは滅多にお目にかかれない風景である。なぜなら、ここに住む唯一組のカップルが、あまりにもオクテだから、である。

なにもこれ見よがしに内緒話なんかしなくっても、秘密の会話がしたければ、脳波通信機を使えばいいものを・・・。などとヤボなことは、言いっこなし。
二人とも、普通の恋人同士としての時間を楽しんでいるのだし、それに彼らは今ここに誰かがいるなんてこと、ましてや、そんな二人の様子をそっと見守っているなんてことを想像もしていないのだから・・・。そして、その誰かが、実は二人の大事な「家族達」全員であることも、想像だにしていないのだから・・・。

ギルモア博士が誂えた超特大サイズのソファーにピッタリと寄り添うように腰掛けた二人は、午後の柔らかな陽射しの中で他愛のないお喋りに興じている。

「だってキミが・・・」
「アナタの方こそ・・・/////」

ぎこちなく彼女の右の肩に回されたジョーの右腕。その中にすっぽりとおさまって、少しだけ上目遣いにジョーを見上げるフランソワーズ。時折、彼女の視線と真正面からぶつかってしまって、バツが悪そうに視線を泳がせているジョー。
甘い甘い時間(とき)が二人の周りを流れて行く。

「おい・・・フランソワーズって、あんな風に拗ねたり甘えた表情をしたりするのか?お前ら、見た事あるか?」
「ないない!(ブンブンと首を振る一同)」
「ジョーってあんなに優しい瞳をしていたか?あんなに屈託なく笑うやつだったか?」
「違う違う!(またしてもブンブンと首を振る一同)」


そんな「家族達」のやり取り(もちろん、脳波通信機使用の)も気付かないまま、リビングの陽だまりにいる恋人達は二人だけの秘密の会話を続ける。




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                                              2004/12/24