はぁ〜〜・・・
コレで何度目の溜息だろう・・・。
キミってさ、ホント、ツミなヒトだよ。わかっているのかい?
いや、きっとキミはわかっていないよね。
だから、そんなに無邪気な表情(かお)で笑っていられるんだ。
キミを取り巻いているこの状況・・・。
本当にキミが理解(わか)っているのなら、そんなに笑顔をふりまいていられないはずだ。
あそこの、大学生の3人組。キミの姿にクギづけになっている。
その少し後ろにいる、カップルの男のほう・・・。
隣にちゃんと自分の彼女がいるって言うのに、キミに見惚れているんだ。
向こうの方にいる家族連れの父親。鼻の下を伸ばしてキミを見つめてる。
あ〜あ、横にいる奥さんが横腹をつついているのも気づかないで・・・。
キミに見惚れているオトコはみんな、キミの隣にいる自分を想像している。
実際にキミの隣にいる、ボクのコトなんか抹殺しちゃってさ・・・
ボクにはイワンのような能力はないけど、わかるんだ、あいつらの考えていることぐらい。
ねぇ、頼むからさぁ、そう走り回らないでくれよ。
あいつらの視線、どこに行っているのか、気づいてないのかい?
ホント、キミって危なっかしいんだよね。
今にもどこかへ攫われて行っちゃいそうでさ、ボクは見ていて、気が気じゃない。
キミのその、白いビキニ、とっても似合っているんだけどさ、
ボクだって、そんなステキなキミを見せびらかしたいんだけどさ、
でも、あんな邪悪な視線にキミを曝すようなマネはボクにはとうていできっこない。
いくら開放的になってしまう夏の浜辺とは言え、キミのその姿は、やっぱり刺激的すぎるんだよ。
眩しすぎて、目のやり場に困ってしまうんだよね、ボクは。
ボクはこんななのに、他のヤツラは、図々しくも、無遠慮な視線を投げかけてくる。
腹が立つったらない。
それさ、ビキニはビキニでも、「マイクロビキニ」って言うんだろ?
露出度が思いっきり高いヤツ。
この前ジェットがボクの部屋において行った雑誌に出てたんだ。
この海辺にもその「マイクロビキニ」なる水着を着ている女の子は結構多いんだけど、
自慢じゃないけど(いや、やっぱ自慢になっちゃうのかな?)、キミほど似合っているコはいないよ、ホントだよ。
でも、それだけに、どうにも目立ってしまって、回りにいるオトコ共の視線の熱いこと!!
その刺すような視線からキミをガードするのは、いくらボクだって容易なことじゃない。
なにしろ、回りはテキだらけ。しかも、キミは無邪気で無防備と来ている。
隙あらば、キミをナンパしようと企んでいるヤツを牽制するには、ボクはぴったりキミに貼りついているしかない。
なのにキミと来たら、その辺の小さな子供達とジャレあっちゃったり、波と戯れちゃったりしてさ。
いっそのこと、加速装置を使ってキミを攫って、誰もいないところまで駆けていきたいくらいだよ。
オトコ共の視線をクギづけにしてしまうくらいにステキなキミ。
そんなキミは、ボク一人のモノなんだって、自慢したいくらいなんだけど、
その一方で、誰にも見られないように、誰かに取って行かれないように、どこかに大事にしまっておきたい、そんな自分がいる。
そんな、ボクの気持ちに気づいてくれないのかい?
ねぇ、フラン・・・
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2003/08/05