目覚めると、カーテンの隙間から零れる朝日の白い光がまぶしい。
ボクは隣で眠る彼女を起こさないようにしながら
そうっとベッドを抜けだし、窓際へ・・・。
カーテンを開けると、そこは一面の銀世界。
どうりで・・・昨夜(ゆうべ)は寒かったわけだ。
この辺りで、今の時期に雪が降るなんて、珍しい事だ。
ましてや、降り積もるなんて・・・。
思わず窓を開けて
「フラン、見てごらん!」
って、叫んでしまった。
起こさないように気を使っていた筈なのに、
さっきまでとは、まるっきり逆の事をやっているボクがいる。
だってさ、この景色を一刻も早くキミに見せてあげたくてさ、
ううん、キミと一緒に見たくってさ。
「うん・・・・」
まだ、夢の世界にいたキミは
頬を撫でる冷たい風のせいでか、それともボクの声のせいでか
現実の世界に戻ってきつつある。
「おはよう、フラン。起きて外を見てごらんよ。」
きっとキミは喜ぶと思うから。
「え?・・・・」
まだ、昨夜の余韻の中にいるキミは
少し重たげな足取りで窓の方にやって来る。
そして・・・。
「わぁ〜〜!!」
思った通り、いや、それ以上にキミは目を見張り歓声を上げる。
キミの瞳の蒼が、いつもよりも輝いて見える。
「なんて、キレイなの!!
ここで、雪景色を見られるなんて思ってもいなかったわ!!!」
そうだろうね。
キミがここに住むようになって今年で何度目の冬だろう・・・。
今までに、チラついた事はあっても、積もった事はなかった。
それどころか、冬のさなかでも雨が降ることが多くて、
キミはその度にがっかりしていたっけね・・・。
「そろそろ、窓を閉めないと・・・」
風邪をひいてしまうよ・・・と言おうとしていたら、
「クシュン・・・。」
小さなクシャミをして、フランは窓を閉めた。
「うふふ・・・風邪ひいちゃうわよね。
でも、そんな暇ないわ。
だって、今日はみんなが帰ってくる日なんですもの。」
そうだったね。
世界のあちこちに散らばっている、ボクらの仲間達が、
クリスマスと新年を、一緒に過ごす為にココに帰って来るんだ。
「まずは、今夜のクリスマスパーティーでしょ。
ううんと、ご馳走を作らなくっちゃ。あと、お酒も用意してね・・・。
それから、明日はみんな二日酔いで大変でしょうから、
明後日にはみんなに手伝ってもらって大掃除して・・・」
ふふふ・・・ジェットの不満そうな声が聞こえるな・・・。
「ああ、そうだ、今年はみんなでお餅つきもしましょうよ!
そして、お正月。初日の出を見て、初詣もしましょうね。
それとも、大晦日からでかけて、二年参りにしましょうか?」
これだけのことを息も切らさずに言うと、
フランはあっという間に着替えてしまって、もう階下のキッチンへと行こうとしている。
「あ・・・フラン・・・。」
呼びとめたボクの声に、フランは立ち止まって振り返る。
そっと近づいて、ふわりと彼女を抱きしめ、耳元に・・・
「Merry Christmas!フラン・・・。」
そう囁いて、唇にKissを贈る。
「ジョー///」
「よかった、キミに1番最初に言えて・・・。」
本当はね、日付が変わったらすぐに言おうと思ってたんだ。
でも、それどころじゃなかったしね・・・。
「もう・・・ばか///////」
頬を赤らめたフランは、ボクを優しく押しやると、ボクの腕の中からするりと抜け出して、
「さぁ、とりあえず、朝ご飯にしましょ。
博士とイワンも待ってるでしょうしね。
それから、今夜の準備よ。あなたも手伝ってね。」
とニッコリと微笑んだ。
「もちろん。」
彼らと一緒にこの年の暮れのひとときを過ごせるのは、ボクも嬉しいし・・・ね。
map /
menu
2003/12/17