《act 2》
夕方になって戻ってきたフランソワーズは、ジェットからジョーが不在である事を聞きはしたが、さして気にも留めなかった。しかし、夕食の時間も過ぎ、夜中になっても戻ってこないとなると、さすがに心配になってきた。
明け方になって、ようやくジョーは帰宅した。フランソワーズは、ほとんど寝つけずにジョーの帰りを待っていたが、やっとウトウトしかけた頃、走り去る車の音とジョーの足音を聞いた。
「ジョー・・・」
声をかけようとフランソワーズがドアを開けたが、ジョーはそれを無視して自室に入って行った。
朝食の時、ジョーは食事に出てこなかった。
フランソワーズは、帰宅の時の様子で、ジョーがかなり酔って帰宅したのを知っていたので、それほど気にしなかった。
「きっと、ひどい二日酔いなんでしょう・・・」
本当は、昨日帰って来なかった理由を問いただしたかったのだが、無理矢理にそう思い込むことで、それを先延ばしにしようとしていた。
ギルモア博士以下他の面々も、この二人にナニかあったらしいことは勘付いていたが、口に出すのも憚られるので、なるべくその話には触れないようにしていた。
しかし、昼食になってもジョーは自室から出てこない。
さらに夕食にも下りてこようとしないジョーに、フランソワーズは心配になった。
そこで、フランソワーズは、ジョーの分の夕食をトレイに乗せ部屋まで運んだ。
ノックをしても、返事はないので仕方無しにそうっとドアをあけ、ベッドの傍らにあるテーブルの上にトレイを置き、部屋を出た。
「しばらくしたら、下げに来るわね。」
そう、小さな声でいうと、部屋を出て、ほうっと溜息をついた。
明らかにジョーが起きていることが、気配でわかった。それでも、彼はあちらの方を向いたまま、フランソワーズの方を向こうともしなかった。
自分に対して、ジョーは怒っているらしい・・・。フランソワーズは漠然と感じた。
頑ななジョーのその態度に顔を曇らせるが、敢えて一言も発せず、部屋を後にした。
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2003/05/14