イワンの初夢

このページの壁紙はe*thiwさんからお借りしています。


気が付くと、僕はフランソワーズの腕の中にいた。
「おはよう、イワン。目が覚めたのね。」
フランソワーズが僕の顔を覗きこむ。
「ウン・・・オハヨウ・・・ふらんそわーず。」
と、いうことは、今までのアレは、夢・・・だったんだ・・・。
「ふふふ・・・。おはようじゃないよ、あけましておめでとう、だよ。」
笑いながら、ジョーまでもが僕の顔を覗きこむ。

「エ?」
「夜の時間になったのが、クリスマスの一週間前だっただろう?今日は、1月の2日なんだよ、イワン。」
「エ゛〜〜〜???くりすます、モウ終ワッチャッタノ?僕、けーき食ベタカッタノニィ〜」
「え?そんなコト言ったって、イワン、あなたはケーキ食べられないでしょう?」
「フン、僕ダッテ、くりーむを味ワウ事グライデキルヨ!」

「おい!そこで、何若夫婦してんだよ!!」
ジェットの大声が割って入る。
「「「え(エ)???」」」
「だって、どう見たって、若夫婦とその赤ん坊だろうが!!」
「「ボ・・・ボク(私)達は、別に・・・」」
二人は真っ赤になって否定しているけど、僕はそれが本当になっても、構わない・・・っていうか、本当になって欲しいんだけどな。

「ああ、そうだ、イワン、あなた、さっき夢を見ていたんじゃない?」
まるで、ジェットをはぐらかすように、フランソワーズは、僕に聞いて来た。
「エ?夢???」
「そうだよ、君、寝言言ってたよ。もちろん、テレパシーで、だったけどね。」
「・・・・・・。」
「なんだよ、その、テレパシーの寝言ってのは!」
ジェットが怪訝そうな顔をしてジョーに尋ねる。
「あれ?ジェット、君には聞こえなかったの?」
「とっても微弱だったから、聞こえなかったのかもしれないわね、ジェットには。」

「なんでだよ?」
ジェットは、ますます「わかんねぇ!」っていう顔をして聞く。
「だって、ジェットったら、ヘッドフォンして、ジャズをガンガンかけてたじゃない。だから、聞こえなかったのよ、きっと。」
「へぇ〜〜〜、そんなもんかね。で、なんて言っていたんだ?」
「えっとね・・・確か、『やっぱり、素直な方がいいのかなぁ』とか言っていた気がするんだけど・・・。」

げ!!僕、ソンナ事言っていたんだ。他には何か言っていないよな・・・。まぁ、この僕に限って、ソンナ事はないと思うけどね。
でも、ここは、そ知らぬ顔でゴマカシテしまおう・・・。うん、ソレに限る。
「フーン、僕ソンナ事言ッテタンダ・・・。」
だってさ、あんな、ホンモノの子供でも見ないような、子供っぽい夢を見ただなんてさ・・・。

「イーワーンー、このジェット様に話してみろよ、どんな夢を見たんだ?」
なんだか、覚めてしまうのがもったいないような、幸せな夢だった。もちろん、今の僕も充分幸せなんだけどね。
「なぁ、話してみろよ。オレとオマエの仲じゃねぇか!」
「じぇっと、僕ハ、君トソンナ風ニ、誤解サレタクナイ・・・。」
「なにをー!」
僕は身の危険を感じて、居心地の良いフランソワーズの腕の中から、空中へと避難した。

「オレは、オマエのことを心配して、だなーー・・・」
ジェットは僕を見上げてどなっている。
「僕ガ君ノ事ヲ心配スル事ハアッテモ、ソノ逆ハ絶対ニアリエナイ。ソレニ心配シテモラウヨウナ夢ジャナカッタヨ。」
そうさ、心配してもらう必要は全然ない。むしろ、それが本当になってもらいたい・・・。

「ネェ、じょー、イイ夢ッテ人ニ話スト叶ワナインダッテネ?」
「うん、確かそう言われていたと思ったけど・・・。」
「ダッタラ、絶対ニ、話サナイヨ。」
「へーーー、そんなにイイ夢だったのか。だったら、ますます聞きてぇな〜。」
一瞬、ジェットの目がキラッと光ったような気がした・・・。

「ジェット、室内でのジェット噴射と加速装置の使用は禁止ですからね!」
「え゛・・・なんでわかるんだ?」
「そりゃ、わかるわよ。長い付き合いだしね、それに、ジェットの行動は判り易いもの!」
「それってよ、オレが単純だってコトかよ?」
「そうね、そうとも言えるわね。」
いつものことだけどさぁ・・・、ニッコリと笑いながら意外とキツイことを言うんだよね、フランソワーズってさ。
ほうら、ジョーがヒヤヒヤしながら二人を見てるよ。

さぁて、この場を手っ取り早く丸く収めるには・・・やっぱり二人の注意をそらせるしかないか。
「ふらんそわーず、僕、オナカスイチャッタ〜」
僕は思いっきり可愛く言った
「わかったわ。今、ミルク作ってあげるわね。」
「ウゥント美味シイノヲ頼ムネ。僕ハ、くりすますけーき、食ベソコナッチャッタンダカラネ。」
「はいはい・・・」
笑いながらフランソワーズはキッチンに僕のミルクを作りに行った。
これで、一応危険は回避できたかな?
やれやれ・・・。





                map / menu /back

                                              2005/01/01