「しっかしよ〜〜。あの二人、どうにかならねーもんかね〜。」
リビングルームでの飲み直し組の一人、ジェットがボヤく。
「あの二人って・・・あの二人か?」
「ああ、あの二人よ。」
「そうだね〜。どうして隠そうとするんだろうね。」
他の二人も思う所は同じらしく、「二人」と言うだけで、どの二人か、すぐにわかったりする。
まぁ、「二人」と一纏めにして表現しうる存在を他に探す方が大変なのだが・・・・。
「まぁ、あいつらなりに遠慮してのことなんだろうがな。」
「隠そうとしたって、すぐにバレルっつーの。
大体、アイツらの表情をみてりゃ、まるで顔にか書いてあるみてぇだしよ〜。」
「そうそう。微妙なタイミングでそれとなしにお互いに目を見合わせていたりして・・・あれは、何をか言わんや・・・だな。」
ここら辺りの見解はメンバーの誰もが思っているところであろう。
「堂々と、これ見よがしにイチャイチャされるよりはマシだと思うしかないだろ。」
もはや、「二人」に関しては、悟りを開いたかのような素振りのアルベルト。いや、彼にしてみれば、フランソワーズは「妹」のような存在だから、その彼女に自分の目の前で男とイチャイチャされるのは面白くないのかもしれない。その相手が例え「弟」のように思っているジョーであってもだ。
「そりゃ、そうだけどよ。でも、ケンカする度にヤツ当りされるのもたまらないぜ。」
「あはは。この前、フランソワーズジェットに食って掛かっていたのって、アレもヤツ当りだったのか?」
偶然遭遇したその場面を思い出して、グレートは同情したように言う。だが、彼のその目は面白そうに輝いていたりする。もちろん、ジェットに同情しているのも、紛れもなくグレートの本心であるのだが、それとこれとは、別なのだ。
「おうよ。どうも、ジョーのヤツがフランソワーズと出かける約束だったのをすっぽかしたのが原因だったらしいぜ。
っっとに、たまんねぇぜ、フランソワーズのヤツ当りの標的にされるのは。」
ジェットにしてみれば、目の前でイチャイチャされるのもたまらないが、怒り狂ったフランソワーズのサンドバッグにされるのは、もっとたまらないことなのだ。他愛もない事で口ゲンカなぞして、二人でじゃれ合うことは楽しいことなのだが・・・。
「まぁ、辛抱してやれ。フランソワーズにしてみれば、お前に当るのが一番気楽でいいんだろう。」
「ケンカの度に、気楽にヤツ当りされたんじゃ、かなわねぇぜ。アルベルト、たまにはオレと代われ。」
「な・・・げほげほ・・・」
急に自分にフランソワーズのサンドバッグという大役(大厄?)をふられて、「何を言う・・・」と言おうとして思わずアルベルトは咽せ返った。
「それにしても、さっきのアイツの格好・・・。」
「フランソワーズの着ていたTシャツって・・・アレ、ジョーのだろ。」
「ああ。で、ジョーのヤツがはいていたパジャマの下は、裏返しだしよ・・・。」
「しかも、前後が逆だったよな。」
「ちょっと前まで何をしていたか、バレバレだよな。」
「そうだよなぁ〜。」
珍しく意見が一致する、グレートとジェット。彼らの見解が一致するのは、ミッション以外の事項では至極めずらしいことなのだ。
そして、酔った勢いも手伝って、グレートとジェットは「二人」の直前の様子を「二人」に成り代わって再現し始める。もちろん、かなり妄想も入り混じってはいるが(爆)
そういう下世話な話題(=寸劇?)に積極的に加わる事を善しとしないアルベルトは、ジェットとグレートの会話(?)を聞くだけであったが、「だが、フランソワーズの項に、ひとつ、真新しいキスマークがついていたのは、お前らじゃ、気付くまいな・・・」と密かに思っていたりしる・・・。
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2004/09/30 初出
2009/07/02 修正
こ